予防医療と酸化ストレスの関係

予防医療において、「酸化ストレス」の管理と対策は極めて重要な柱の一つとされています。酸化ストレスは、老化や多くの病気の共通の元凶と考えられており、これを制御することが健康長寿の鍵となります。

「酸化ストレス」とは、体内で発生する活性酸素（フリーラジカル）の生成量と、それを打ち消す抗酸化力のバランスが崩れ、活性酸素が優位になった状態を指します。

酸化ストレスは、単なる老化現象に留まらず、以下のようないくつかの主要な疾患や健康問題に深く関与していることが分かっています。

予防医療は、病気になる前にリスクを特定し、生活習慣の改善や早期介入によって健康を維持・増進することを目指します。酸化ストレス対策は、この予防医療の具体的な実践となります。

1. 検査によるリスク把握

酸化ストレス/抗酸化力検査（d-ROMs/BAPテストなど）: 血液検査などで現在の酸化の程度と、体が持つ抗酸化力を測定し、客観的にリスクを把握します。

2. 生活習慣の改善

食事（栄養）
- 抗酸化物質の積極的な摂取: ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール（カテキン、アントシアニンなど）、アスタキサンチンなど、抗酸化作用を持つ食品（野菜、果物、ナッツ、魚介類など）をバランス良く摂る。
- 過度な飲酒・喫煙の制限: これらは活性酸素の発生を大きく増加させるため、極力避ける。
運動
- 適度な有酸素運動: 継続的な軽い運動は、体内の抗酸化酵素の活性を高める効果がある。ただし、過度な激しい運動は一時的に酸化ストレスを増大させるため注意が必要。
睡眠とストレス管理: 十分な睡眠と、ストレスを溜めない生活を送ることで、活性酸素の発生を抑える。

3. 医療的な介入

高濃度ビタミンC点滴などの抗酸化療法: 経口摂取では難しい高濃度の抗酸化物質を直接体内に取り込むことで、酸化ストレスを強力に軽減する治療法が注目されている。
サプリメントの活用: 検査結果や専門家のアドバイスに基づき、特定の抗酸化栄養素（コエンザイムQ10、α-リポ酸など）を効率的に補給する。

酸化ストレスを適切に管理し、抗酸化力を高めることは、病気の発生を未然に防ぎ、健康寿命を延ばすための最も重要な予防策の一つです。