長距離有酸素運動が老化を加速させるメカニズムと酸化ストレス

近年、長距離有酸素運動が健康に良いとされてきましたが、近年ではその考え方が変わりつつあります。実は、長距離有酸素運動は 「酸化ストレス」 を引き起こし、 老化を加速させる 可能性があるという研究結果が出ているのです。

酸化ストレス とは、体内で活性酸素と呼ばれる物質が増え、抗酸化物質が不足することで起こる状態です。活性酸素は細胞を傷つけ、老化や様々な病気の原因になると考えられています。

長距離有酸素運動が老化を加速させるメカニズム

長距離有酸素運動は、主に以下の3つのメカニズムで酸化ストレスを引き起こすと考えられています。

コルチゾール値の上昇: 長距離有酸素運動は、ストレスホルモンであるコルチゾール値を上昇させます。コルチゾール値の上昇は、体内の酸化物質の量を増やし、炎症を悪化させます。
フリーラジカルの生成: 長距離有酸素運動中は、呼吸数が増えて酸素が豊富な体内環境となり、それに反応するかたちで体内に有害なフリーラジカルが生成されます。フリーラジカルは、細胞を傷つけ、DNAを損傷するなど、老化の原因となります。
抗酸化物質の減少: 長距離有酸素運動は、抗酸化物質のレベルを低下させると考えられています。抗酸化物質は、活性酸素を除去して細胞を保護する役割があります。

研究結果

2010年の研究では、300人以上の持久性運動選手のコルチゾール値を調べたところ、非アスリート対照群よりもかなり高いことがわかりました。また、トレーニング量とコルチゾール値の間には、明確な相関関係が見られました。
2011年の研究では、健康な男子大学生を対象に、自転車こぎの影響を調べたところ、コルチゾール値と炎症マーカーが大幅に増加することがわかりました。