マグネシウムの必要性・細胞分裂と光合成と関係

マグネシウムの必要性・細胞分裂と光合成と関係

 

 

細胞分裂期の染色体凝縮はマグネシウムイオンの増加によって起こる
京都大学

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2018-01-19

細胞が分裂する際、ヒトでは全長2メートルにも及ぶゲノムDNAからコンパクトに凝縮した「染色体」と呼ばれるDNAの束が作られ、2つの細胞に正確に分配されていきます。半世紀以上前、細胞に大量に存在するMg 2+ がゲノムDNA凝縮の鍵となりうることが提唱されたことがありましたが、当時は細胞内Mg 2+ 濃度を測定する手段が無かったため、証明されぬまま忘れられていました。

本研究グループは、蛍光タンパク質技術を駆使してMg 2+ 濃度の変化を高感度で感知できる蛍光センサーMARIOを開発し、生細胞内のMg 2+ 濃度を蛍光イメージングにより可視化することに成功しました。そして細胞分裂の際にMg 2+ 濃度が一過的に上昇することを示すとともに、負の電気を帯びているDNA同士の反発を弱め、染色体の凝縮を促進していることを明らかにしました。本研究によって、実際にMg 2+ が細胞の中で染色体の凝縮に関わっていることが初めて証明されました。

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.cub.2017.12.035

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/228936

Kazuhiro Maeshima, Tomoki Matsuda, Yutaka Shindo, Hiromi Imamura, Sachiko Tamura, Ryosuke Imai, Syoji Kawakami, Ryosuke Nagashima, Tomoyoshi Soga, Hiroyuki Noji, Kotaro Oka, Takeharu Nagai (2018). A Transient Rise in Free Mg2+ Ions Released from ATP-Mg Hydrolysis Contributes to Mitotic Chromosome Condensation. Current Biology, 28(3), 444-451.e6.

  • 科学新聞(2月9日 4面)に掲載されました。

 

光合成能力を高めるマグネシウム輸送体を世界で初めて発見
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id729.html

マグネシウム(Mg)は植物の必須元素で、特に光合成の維持に重要です。今回の研究で、イネにおいて葉緑体にマグネシウムを輸送する輸送体OsMGT3を同定しました。
OsMGT3は主に葉肉細胞の葉緑体の内膜に局在し、細胞内のマグネシウムを葉緑体に輸送する役割を担います。光合成のカギ酵素であるルビスコと同調して、発現の日周性を示します。
OsMGT3を過剰発現させると、光合成活性が向上しました。将来作物生産性の向上に応用できます。

■論文情報論

文 名:Diel magnesium fluctuations in chloroplasts contribute to photosynthesis in rice

掲 載 紙:Nature Plants

著  者:Jian Li, Kengo Yokosho, Sheng Liu, Hong Rui Cao, Naoki Yamaji, Xin Guang Zhu, Hong Liao, Jian Feng Ma* and Zhi Chang Chen* (*共同責任著者)

D O I:doi:10.1038/s41477-020-0686-3

U R L:https://www.nature.com/articles/s41477-020-0686-3

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