睡眠前のタンパク質の摂取は、筋タンパク質の合成率を増加させる【論文】
Protein Ingestion before Sleep Increases Overnight Muscle Protein Synthesis Rates in Healthy Older Men: A Randomized Controlled Trial
睡眠前のタンパク質摂取は、健康な高齢男性における一晩中の筋タンパク質合成率を増加させる: ランダム化比較試験
背景
加齢に伴う骨格筋量の減少は、タンパク質摂取に対する同化反応の鈍化に起因するとされてきた。このような同化抵抗性を補う効果的な戦略として、睡眠前のタンパク質摂取が示唆されている。
目的
高齢男性において、睡眠前のタンパク質摂取が食事タンパク質の消化・吸収動態および夜間の筋タンパク質合成率に及ぼす有効性を評価した。
方法
無作為二重盲検並行デザインにおいて、48人の高齢男性(平均±SEM年齢:72±1歳)が、睡眠前に40gのカゼイン(PRO40)、20gのカゼイン(PRO20)、20gのカゼイン+1.5gのロイシン(PRO20+LEU)、またはプラセボを摂取した。L-[1-13C]-フェニルアラニンおよびL-[1-13C]-ロイシンで標識したタンパク質を摂取し、睡眠中にL-[ring-2H5]-フェニルアラニンおよびL-[1-13C]-ロイシンを静脈注射した。一晩の睡眠中、筋肉と血液のサンプルを採取した。
結果
外因性フェニルアラニン出現率は、タンパク質摂取後に増加したが、PRO20およびPRO20+LEUよりもPRO40の方がより大きかった(P < 0.05)。一晩の筋原線維タンパク質合成速度(L-[環-2H5]-フェニルアラニンに基づく)は、プラセボ、PRO20、PRO20+LEU、およびPRO40でそれぞれ、0.033%±0.002%/h、0.037%±0.003%/h、0.039%±0.002%/h、および0.044%±0.003%/hであり、プラセボよりもPRO40で高かった(P = 0.02)。L-[1-13C]-ロイシントレーサーによる観察も同様であった(プラセボ:0.047%±0.004%/h、PRO40:0.058%±0.003%/h、P = 0.08)。タンパク質由来のアミノ酸(L-[1-13C]-フェニルアラニン)は、PRO20よりもPRO40の方が筋原線維タンパク質に多く取り込まれ(それぞれ0.033±0.002 MPEと0.019±0.002 MPE、P < 0.001)、PRO20+LEU(0.025±0.002 MPE、P = 0.06)よりも高い傾向にあった。
結論
健康な高齢男性において、睡眠前に摂取したタンパク質は夜間を通して適切に消化・吸収され、睡眠中の筋原線維タンパク質合成の前駆体となる。
睡眠前に40gのタンパク質を摂取すると、一晩の睡眠中の筋原線維タンパク質合成率が増加する。
これらの知見は、加齢や疾患における筋肉量の維持をサポートする新しい栄養戦略の科学的根拠を提供するものである。
この試験はwww.trialregister.nl、NTR3885として登録された。